発達障害の子どもの接し方を相談された場合の保護者対応

発達障害の子どもの接し方を相談された場合の保護者対応

現在保育園勤務の保育士に急務で言われているのが、発達障害を持つ子ども達への対応の方法を知る事です。

少し前までは発達障害という言葉もなく、落ち着きがない、人に危害を加える、人の話を聞かないなど、欠点だと捉えて厳しい指導がなされてきました。

しかし今はその障害の症状に対しての適切な対応、そして障害の改善が課題となっています。

今回はそんな発達障害を持つ子どもの相談を、保護者に持ち掛けられた時の保育士の対応方法について紹介していきます。

何の障害かをまず把握する

発達障害と一言で言っても、発達障害にも様々な種類があります。

  • 広汎性発達障害…自閉症、アスペルガー症候群、トゥレット症候群
  • 学習障害(LD)
  • 注意欠陥・多動性障害(ADHD)

上記に分類されます。

その種類によって、全く対応が変わってくるので対応を発達障害と一括りにして行ってはいけません。

それぞれの障害に合った対応を心掛けてください。

まずは何の障害をその子が持っているのかを知る事からです。

保護者に尋ね、子どもにどんな診断が下りているのかを聞き出します。

広汎性発達障害の場合

広汎性発達障害と保護者から告げられた場合、まずは保護者が一番悩んでいる状況を聞き出しましょう。

自閉症の場合

自閉症は環境の変化に弱く、自分のルールが通用しないと、パニックになってしまう場合があります。

しかし、ある程度ルーティーンが決まっていると問題なく過ごす事が出来ます。

ですから、まずは毎日の流れを本人の中に作ってあげる事が大切です。

家庭でも保育園でも、同じ一日の流れを作り、なるべく子どもに変化を感じさせない事で子どもも楽しく毎日過ごす事が出来ます。

また、その子の持つルールに気付き、こちらもそのルールを守るように協力するようにしましょう。

自閉症の子どもは自分のルールを破られる事を非常に嫌い、対して自分のルールを一緒になって守ってくれる人には信頼を寄せます。

何でも型にはめて他の子どもと同じに!ではなく、子ども達一人ひとりに合わせて柔軟な対応をする事が重要です。

保護者も同じで、「他の子と同じ様に!」と周りと同じにと意識しすぎるのではなく、その子に合った生活のリズム・ルーティーン作りをするように勧めてみてください。

アスペルガー症候群

アスペルガー症候群の特徴は、コミュニケーション能力に難があり、社会性が欠如してしまう障害です。

想像力が乏しく、「〇したら〇になる」という見通しを立てる事が難しいです。

ですから、危険行為への見通しも出来ない為、突然友達を押してしまったり、怪我をさせてしまう事もあります。

「どうなるか気になったから」が口癖で、興味本位で相手に怪我をさせる危険があるので、見通しをある程度立てる事や、何か興味を持って他人に攻撃を仕掛けようとした場合はすぐに保育士が気付いて阻止し、その行為がどれだけ危険か、行ってはいけないのかを伝える事が大切です。

その繰り返しで、ようやくその子どもは社会的なルールを覚えていきます。

保護者にも、常々物の見通しを子どもに伝える事、もしも危険行為に及んだ場合は何度でも同じ説明をして、何故いけないのかを根気強く伝える事をアドバイスします。

トゥレット症候群

トゥレット症候群は、まばたきの回数が異常に多かったり、首振りの動作が頻繁に起こる、無意味な咳払いを何度もする、鼻を意味もなく何度も鳴らす、意味を持たない単音を大声で叫ぶ(※年齢が上がるとそれが「死ね」などの反社会的な言葉に変化する)事が症状として挙げられます。

保護者は「突然叫ぶのを止めて欲しい」と、他の子よりも悪目立ちする事を特に嫌います。

トゥレット症候群に関しては、いくら保護者や保育士が「叫ぶのはだめ」「その動作をやめなさい」と指摘しても、治りません。動作などのチックは大体10歳後半までに消えるか、薬で症状を抑えるかしかありません。

ですから、保護者が悩んでいる場合は、すぐに医療機関への受診を勧めてください。

学習障害(LD)

学習障害は識字・文字書きをする幼児クラスで多く発見される障害です。

読む事や書く事、聞く事や話す事、計算などの能力の中で著しく出来ない場合に診断されます。

そこで、保護者は「うちの子は話す事は出来るのに、なかなかひらがなを読めるようにならない」「ひらがなを書けない」「簡単な計算が出来ない」と相談してきます。

その場合、苦手な分野を出来る分野で補う事が求められます。

例えば、文字を聞き理解が出来ても、書く事が難しい場合は自分の声を録音し聞く事でメモの代わりになります。

逆に、聞くのが難しい場合は文字に起こしてもらえば、認識する事が出来ます。

周りの協力が必要不可欠になるので、保護者だけで抱え込むのは間違いだと保護者に伝え、子どもの苦手分野をどうフォローするかを話し合いましょう。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)

注意欠陥・多動性障害は文字通り二通りのタイプがいます。

一つが物忘れが激しく、注意力の低い注意欠陥、もう片方は静かにしなければいけない場面などでもじっとしておけない、衝動的な行動を取ってしまう多動性です。

注意欠陥は乳児期には分かりにくいですが、幼児クラスになると明らかに他の子どもよりも忘れ物が多かったり、他人との約束にルーズであったり、人の話を聞いていないなどの点で明らかになります。

多動性も同じく保護者や保育士の言う事をなかなか聞かずに活発に動く乳児期には殆ど症状は分かりませんが、異常な泣き声を張り上げる、叫び声を上げたり、自分の思い通りにならないと咄嗟に手が出てしまうなどの症状はよく見られます。

幼児期になるとその症状は更にはっきりとしてくるので、他の子との距離も出来てしまう事があります。

注意欠陥については、保護者・保育士が繰り返し子どもに物忘れをしないような声掛けを断続的に行い、子どもが字を書けるようになったらメモを取るなどして、覚えておこうとする姿勢を取らせる事が大切です。

保護者にも断続的な声かけを提案してあげてください。

多動性の方は、咄嗟に手が出そうな時は制止を行い、その怒りを冷静に分析して抑えられるようになるまで、根気強く保護者と保育士で制止→クールダウン→話し合い→制止→クールダウン→話し合いのループを繰り返し、衝動的な行動を起こさずに、頭の中で冷静に怒りを分析できるようになるまでひたすら繰り返すしかありません。

また、あまりに症状が強すぎる場合は投薬治療の方法もあるので、保護者に医療機関での薬物処方を提案してください。

まとめ

障害という名がつく事を保護者は嫌がり、育児を抱え込んでしまう傾向にあります。

しかし、先の見えない子どもの症状に疲弊した時、保育士へと助けを求めてくるのです。

その辛かった気持ちを受容する事から始まり、それぞれの発達障害への正しい対応を保護者と話し合い、園と家庭両方で同じ対応を取る事で子どもの症状改善を初めて成功させる事が出来ます。

連携を絶やさずに、根気強く子どもと向き合っていってください。